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入手カードレベル:5 エリア エリア名 DP EX スタンプ カード1 カード2 カード3 カード4 7-1 藤丘町エリアマッチ11戦目 4 7~15 240~290 高町なのは [海聖小学校生徒] 八神シャマル [ほんのり医大生] アミティエ・フローリアン [現役高校2年生] 7-2 藤丘町エリアマッチ12戦目 アリサ・バニングス [海聖小学校生徒] 八神シャマル [研修中医大生] キリエ・フローリアン [現役高校1年生] レイジングハート A-C 7-3 藤丘町エリアマッチ13戦目 月村すずか [海聖小学校生徒] 八神はやて [八神堂店主] アミティエ・フローリアン [現役高校2年生] ? 7-4 藤丘町エリアマッチ14戦目 アリシア・テスタロッサ [海聖小学校生徒] 八神シグナム [草間一刀流師範代] キリエ・フローリアン [現役高校1年生] 7-5 藤丘町エリアマッチ15戦目 エイミィ・リミエッタ [T H店員] 八神シャマル [ほんのり医大生] レヴィ・ラッセル [元気系中学生] 7-6 VS シャマル 報酬 のろいうさぎ [ヴィータの宝物] Lv 20 (1600スタンプ) +2013/05/11変更 EX 6~11 → 7~15
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最新話 我、使命を受けし者なり 契約のもと、その力を解き放て 風は空に、月は天に そして不屈の心はこの胸に——— この手に魔法を! レイジングハート、セットアップ! あらすじ 遠野家当主の遠野秋葉は、屋敷の書庫で見覚えの無い宝玉を見つけた。 秋葉をマスターと呼ぶその宝玉は、レンが危険な目に遭うと忠告をしてきた。 秋葉はその言葉を信じて魔法少女へと変身し、レンの元へと駆けつけるのであった。 解説 遠野秋葉を魔法少女にしてみたら・・・というストーリー。 タイトルからもわかるようにリリカルなのはが元ネタ。 ただ、原作に沿っているかと言われたら盛大にぶん投げていたり。 Aパート、アイキャッチ、Bパート、次回予告と、アニメ的な動画構成になっている。 出演キャラクター 主人公 + ... 遠野秋葉 高校生で遠野家当主。ひょんな事から飛散したジュエルシードを回収することに 知識が偏っているのはご愛敬。ある程度は原作準拠だし レイジングハートの力で魔法少女に変身する 遠野家 + ... 遠野志貴 秋葉の兄。伝奇茸成分は大幅削除の他は至って普通の志貴 琥珀 遠野の屋敷の使用人 翡翠 遠野の屋敷のメイドさん。 裏でこっそりと小説家をしている。 レン 黒い方だけど喋る。レイジングハートの本来の持ち主であったがドジっ子故に解約される。 メカヒスイ 琥珀の作るオートマタ アルクェイド 遠野家に転がり込んでくる女優。女優? レンとは過去に因縁がありそうだが……? 周囲の人々 + ... 月宮あゆ 秋葉の同級生。立場的にはなのは 本田飛鳥 秋葉の同級生。立場的にはすずか 朝倉涼子 秋葉の先輩。 弓塚さつき 秋葉の先輩。謎のはらぺこ属性付与 七夜志貴 遠野志貴の双子の弟。紅魔館在住 謎の組織 + ... 白レン 組織のボス。いわゆる社長 ネコアルク 普通の会社なら一般社員。下っ端だが猫 怪人蜘蛛男 動物愛護に燃える男 いさぎよく引き下がる男 アドラー 普通の会社では部長にあたる人。 社員が猫なので汚れ役は大体彼の元に エレクトロゾルダート いわゆる戦闘員 ムラクモ 普通の会社では専務にあたる人 05話において魔法少女に勧誘された人たち カティ タマラ 天海春香 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン その他 + ... 01話 + ... うどんげ 極東航空の添乗員。苦労をしている ネコアルク・カオス 飛行機の旅客 幾度となく騒ぎを起こしているようである リュウ ジュエルシードによって凶暴化していた格闘家 02話 + ... メイドさん 喫茶店「ル・マン」のメイド。ニコニコとした笑顔のままで過激で容赦のない言葉を言う 進藤さつき リポーター 犬走椛 ディレクター 03話 + ... 安栖頼子 翡翠の担当編集者。本来はアルカナムー希望 霧雨魔理沙 賞の受賞者 西行寺幽々子 ある時は大食いタレント、ある時は白玉楼ケーブルテレビの社長、またある時は墓地の管理人。しかしてその正体とは―― ナンバーナイン パーティ会場であるものを盗み出す、が… ルガール運送の人 倉田佐祐理 現・ルガール運送社長。 夫とは既に死別 マチュア バイス いわゆる社長秘書の二人 04話 + ... 紅魔館在住の人々 パチュリー・ノーレッジ 軋間紅摩 05話 + ... チルノ 博麗霊夢 マユラ ライバル枠 Unknown 06話 + ... 水橋パルスィ 地霊殿の案内役 古明地さとり 火焔猫燐 橙 八雲の使い 柏木千鶴 秋葉の旧知 姫海棠はたて 文々。新聞社の社員 因幡てゐ 射命丸文 舞台裏 + ... シエル先生 遠野四季 解説役はこの二人。要はネロア被害者友の会 コメント + ... 2話を見かけてついカッとなって作った。後悔はしてないが記事の出来は反省している。 -- 名無しさん (2010-05-15 09 23 29) よく作った。乙 -- 名無しさん (2010-05-15 10 39 48) 解説が増えてる。乙 -- 名無しさん (2010-05-16 02 07 34) どうでもいいが同級生がともにDカップなのは何故?偶然?それとも故意(秋葉イジメ)? -- 名無しさん (2010-05-16 03 10 14) ↑そこはお約束でしょ なのちゃんなのかと思ったらやっぱり魔砲少女の方なのね -- 名無しさん (2010-05-16 06 49 11) ↑しかし中の人はなのちゃんという矛盾。というかもしかしてネタ元これか? -- 名無しさん (2010-05-16 15 06 22) なるほどなるほど、歳はいっているが胸は少・・・・おや、誰か来たようだ -- 名無しさん (2010-05-16 16 55 22) 秋葉様はスレンダーかわいいからいいんだ 本人が気にしてるところがまたいいんだ -- 名無しさん (2010-05-16 18 38 14) 自分の作品のページが作られるとは、奇跡みたいだねぇ。あーうー。ただ、内容はちょいちょい修正するかも -- 柏原まるは (2010-05-17 02 34 25) ↑どうぞどうぞ。視聴者にはわからない匙加減とかあると思いますし -- 立てた人 (2010-05-17 03 10 35) だれかとらハなのはも作らんかねぇ。必殺技とかほとんど久遠任せになりそうだが。 -- 名無しさん (2010-07-18 14 40 58) ↑ストライカーで兄と姉と居候二名が乱入してくるんですね、わかります。12Pは画面内に全員いるとかのカオスを期待したいry -- 名無しさん (2011-06-25 01 33 34) 05話までの人物を修正、暫定版。 -- 柏原まるは (2011-09-24 02 24 52) 名前 コメント マイリスト マイリスト
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朝焼けに染まる無人の街を、白い閃光が駆け抜ける。 桜色の魔力弾を周囲に従え、鋼鉄とコンクリートの森の中を縦横無尽に飛び回るなのはを、スバルは必死に追っていた。 「ウィングロード!」 スバルの声と共に出現した光の「道」――ウィングロードが、なのはの行く手を阻むように回り込む。 一巡、二周、そして三重……まるでリボンで包装するかのように、ウィングロードが幾重にもなのはの周りを取り囲む。 それは最早「道」ではなく、獲物を捕らえる一つの「牢獄」だった。 ウィングロードの網の目を潜り抜け、無数の魔力弾がなのはへと撃ち込まれる。 ティアナの狙撃か……迫り来る敵の凶弾を周囲で遊ばせていた自身の魔力弾で相殺しながら、なのはは冷静にそう分析する。 待ち伏せ……まんまと罠に嵌ったという訳か。 「でも……これだけじゃ全然甘いよ!?」 吼えるなのはの周囲に新たな魔力弾が生成され、前後左右、あらゆる方向に撃ち出される。 一見出鱈目に放たれた無数の魔力弾は、しかし周囲を取り囲む魔法の「檻」に正確に着弾し、まるで紙切れのようにズタズタに引き裂いた。 牢獄から解放されたなのはは、しかし次の瞬間、消えかけるウィングロードを高速で駆け上るスバルの姿を見た。 「リボルバー……!」 なのはの攻撃により途中から途切れたウィングロードを蹴り、デバイスを装着した右拳を振り上げながらスバルが跳ぶ。 撃ち落とすべくデバイスを構えるなのはの耳に、その時、 「龍魂召喚! フリードリヒ!!」 凛としたキャロの声が飛び込んできた。 驚愕の表情で背後を振り返ったなのはは、翼を広げた巨大な白い龍――フリードリヒの姿を認めた。 その口元には光が集束し、いつでも砲撃出来る態勢である。 「こんな街中でこんな大技を、しかもスバルまでいるこの距離とこのタイミングで……!?」 下手をすれば――否、どうしようとも、フリードリヒの攻撃がスバルを巻き込むことは確実である。 暴挙としか言えないようなキャロの行動に歯噛みするなのはに、そんなものはお構いなしとばかりにスバルの拳が迫る。 「――シュートッ!!」 気合いと共に打ち出されるスバルの拳を左手で受け止め、なのははデバイスを握る右手を掲げ、防御陣を展開した。 スバルをこのまま掴まえたまま、自分が盾となってフリードリヒの砲撃から守り抜く――この状況で教え子を救う方法を、なのははそれ以外に思いつかなかった。 全身全霊を込めて防御陣に魔力を注ぎ込むなのはの目の前で、その時、フリードリヒの姿が陽炎のように歪んだ。 幻術!? 動揺するなのはの思考を肯定するように、フリードリヒの虚像を突き破り、エリオがデバイスを振り上げながら姿を現した。 未だ空中を漂うウィングロードの切れ端を飛び石のように伝い、ジグザグな軌道を描きながら、エリオは防御陣の死角――なのはの頭上へと辿り着く。 エリオの足元に展開される加速用の魔方陣――ラゼンガンとの戦いで見せた、キャロとの連携戦術である。 「ストラーダ! 全力突貫!!」 号令と共にブースターを点火し、エリオは流星のようになのはに突撃した。 ストラーダの推進力に加えてキャロの補助、更に重力までをも味方につけて、エリオがなのはに迫る。 上空から降下してくるエリオという名の人間砲弾、しかし脅威はそれだけではない。 なのはに掴まえられたスバルの右拳、その周囲に、環を描くように魔方陣が展開される。 「ディバイン――」 スバルの声に合わせて魔方陣が回転を始め、激烈な光を放ちながら加速していく。 しまった……なのはは咄嗟にスバルの手を離し、後方へと飛び退いた。 なのはとスバルの間――本来なのはのいた場所を、エリオが空しく突き抜ける。 なのは拘束から解放されたスバルも、ウィングロードという足場を失い、重力に引かれてゆっくりと落下を始めた。 奇襲失敗……しかし、これで終わる二人ではなかった。 「ストラーダ……逆噴射!!」 怒号するエリオの指示に従い、ストラーダはブースターを逆方向――地上に向けて噴かした。 極限まで加速したエリオの突進力は一瞬で相殺され、偽りの無重力状態を作り出す。 無論、そのような無茶をして代償が無い筈が無い。 急激なGの変化に全身の骨が悲鳴を上げ、衝撃で胃液が逆流する。 しかし、まだだ……まだこれだけでは終われない。 デバイスを両手で握り直し、エリオは雄叫びと共に魔力を込めた。 ストラーダの穂先に魔力刃が出現し、のびる、伸びる、延びる……!! 己の身長の数倍、10m近い大きさまで達した魔力刃を、エリオは次の瞬間、あろうことかスバルへと振るっていた。 「スバルさん!」 叫ぶエリオの振り上げた魔力刃を、スバルは両脚でしっかりと踏み締めた。 「いっけえええええええええっ!!」 スバルの乗った魔力刃を、エリオは気合いと共に一気に振り抜く。 魔力刃の射出台から打ち出されたスバルが飛ぶ、そして同時に、スバルは跳んでいた。 重力の壁に風穴を開け、遥か上空に浮かぶなのはを目指して、ひたすら空を突き進む。 右手首を覆うタービンが、その周りを巡る魔方陣が、まわる、回る、廻る……! そして遂に、スバルはなのはの許まで辿り着いた。 「――バスター!!」 拳と共に至近距離から撃ち出されたスバルの砲撃魔法を、なのはは防御陣を展開して受け止める。 しかし尚も進み続けるスバルの勢いを殺し切れず、なのはの身体は徐々に後方へと押し飛ばされていく。 そして次の瞬間、なのはの背中が何かにぶつかった。 背後を振り返ったなのはは、次の瞬間愕然とした。 背中越しに広がる巨大な桜色の魔方陣――フリードリヒの虚像相手になのは自身が作り上げた防御陣である。 このままでは潰される……なのはは背中の防御陣を消滅させ、そしてスバルへの防御に集中した。 未だ勢い衰えぬスバルの拳となのはの防御陣がぶつかり合い、激しく火花を散らしている。 スバルの攻撃はなのはを押している――しかし今の状態では文字通り、物理的に「押している」だけに過ぎない。 スバルが拳を押し込めば押し込む程、それだけなのはは後方に退がる――それだけだった。 まさにジリ貧、決着のつかないこの攻防は、しかしスバルにとっては圧倒的に不利な状況だった。 砲撃呪文の効果が尽きれば攻撃を支えていた推進力は消え、空を飛ぶ術を持たないスバルは再び重力の鎖に囚われ、ただ落下するしかないだから。 「あたしは……」 しかし、スバルは諦めない。 拳を押し込んだだけ後ろに退がられるのならば、退がられる前に突き破れば良い。 向こうが一歩退がるのならば、自分は二歩進めば良い。 もっと強く、もっと速く。 一途な思いを拳に乗せて、スバルはひたすら前に進み続ける。 ……鼓動が聞こえる。 アンダーウェアの下のコアドリル、『あの人』に貰った宝物が脈動している。 「あたしの拳は……!」 ピシリ……なのはの防御陣に亀裂が入った。 瞠目するなのはの目の前で、亀裂は段々と広がっていき、遂に防御陣全体を蜘蛛の巣のように覆い尽くす。 「――天を、突くっ!!」 咆哮と共に打ち抜かれたスバルの拳に耐え切れず、防御陣が音を立てて砕け散った。 「あたしを誰だと思ってる!!」 粉々に弾け跳ぶ防御陣、桜吹雪のように舞い散るその残滓を全身に浴びながら、スバルは不敵な笑みを浮かべて決め台詞を口にする。 しかし目の前の相手が自分の直属の上司、しかも命の恩人であり憧れの人でもあることを思い出し、 「――んですか!!」 スバルは慌ててそう付け加えた。 ともあれ、これで邪魔な防御は打ち破った。 後はこのままなのはに一撃与えれば――もっと手っ取り早く言えば、このまま殴り飛ばせば、この戦闘は終了である。 もう一度拳を振りかぶるスバルに、なのはも最後の抵抗を見せるようにデバイスを構える。 停滞、或いは後退を考えるのならば、足場の無いスバルが不利である。 しかしそれ以外の選択――このまま前進するのならば、何の問題も無い。 なのはが呪文を使うと前に、デバイスを武器代わりに振るう前に、己の拳を届かせる自信がスバルにはあった。 チェックメイト……しかし油断はしない。 何故ならば、相手はなのはなのだから。 刹那にも満たない静寂――しかし向かい合う二人には永劫の時間のように感じられた。 二人の間の時間が止まり、そして再び動き出す。 最初に動いたのは、スバルか、なのはか――否、そのどちらでもなかった。 廃ビルから放たれた一発の魔力弾、完全な不意打ちとして撃たれたそれは、防御陣の消えたなのはの無防備な背中に吸い込まれ、純白のバリアジャケットに焦げ跡を作った。 「……ちょーっと卑怯臭かったかな?」 タイミングを崩されたことで空振りし、そのまま落下するスバルと、慌ててスバルを掴まえに降下するなのはを見ながら、ティアナはそう呟いた。 全く悪びれた様子の無いティアナの言動に、隣のキャロとフリードが嘆息する。 「ティアナさん……空気読みましょうよ」 こうして、この日の早朝訓練は終了した。 朝日に照らされたハイウェイを、黒い車が疾駆している。 「おぉー、あの子ら意外とやりおるなぁ」 カーナビの液晶に映る戦闘映像――スバル達の早朝訓練の様子を眺めながら、はやては感嘆したように声を上げた。 隣でハンドルを握るフェイトも、同意するように首肯する。 四人の中で一番足の速いスバルが追い込み役となり、他の三人の潜む待ち伏せポイントまでなのはを誘い出す。 本来足場として使用するウィングロードを包囲網として応用し、なのはの足を止めたところで、ティアナの幻術――偽のフリードリヒを投入する。 キャロにフェイクの召喚呪文を叫ばせることで虚像を本物であると思い込ませ、更にスバルを特攻させることでなのはの思考から余裕と選択肢を殺ぐ。 防御魔法は全部で三種類――受け止めるバリア系、弾いて逸らすシールド系、そして身に纏って自分を守るフィールド系。 スバルもいるあの状況でなのはの選べる選択肢は、バリア系かシールド系の二者択一、更に訓練場の仮想空間とはいえ、周囲の被害も考えれば選べるのは一つ。 バリア系――それも障壁が半ば物質化程高密度に魔力を練りこんだ強固なもの。 しかし如何なる魔法にも長所と短所があり、バリア系及びシールド系防御魔法の例で言えば、一方向にしか展開出来ないという弱点がある。 その弱点を衝き、虚像のフリードリヒの後ろという死角からエリオを特攻させ、バリアの効果の及ばない頭上からなのはを強襲させる。 更にスバルにも攻撃魔法を使わせることで一方に集中した対処という選択肢を奪い、チェックメイト。 結局はなのはに逃げられたという結果からも分かる通り、まだまだ甘い部分も多々あるが、それでも戦術としては十分及第点として評価出来る。 寝惚け頭でよくもまあ……この作戦を考え出したであろうティアナに、はやては内心舌を巻いた。 最後の不意打ちのことも鑑みるに、意外とえげつない性格なのかもしれない。 軌道六課が正式稼動を開始してから、二週間が経とうとしていた。 誤解、それから潰し合いという最悪の出会いを果たしたスバル達前衛四人だったが、今回の戦闘映像を見た通り、その後のチームワークには何の支障も出ていない。 全力のぶつかり合いが良い方向に影響を与えたのかもしれないし、始末書という共通の敵を相手に戦ったことで連帯感が生まれたのかもしれない。 何にせよ、「雨降って地固まった」という訳である。 それになのはとフェイトの介入により喧嘩両成敗という形で幕を下ろしたあの戦闘も、問題は山積みであったが全くの無意味という訳でもなかった。 ラゼンガンはフルドリライズモード――なのは達で言うフルドライブモード、キャロは完全制御状態でのフリードリヒの召喚に、共に成功している。 初陣を控えた機動六課前衛陣にとって、この二つの戦力の底上げは喜ばしい誤算である。 ……と、本部に提出した始末書の中で、はやてはそう言い訳した。 「……辛うじて「不幸中の幸い」に引っかかるかどうかーってトコなんよね、本音を言えば」 事ある毎に「ラゼンガンとフリードリヒのどちらが強いか」という口論を展開し、その度に再戦を申請してくる新人達を思い出し、はやては疲れたように息を吐いた。 パイロットとしてのスバルの矜持も納得出来るし、家族に良い格好をさせてやりたいというキャロの気持ちも理解出来る。 分かる、解るが……「お前ら子供か」とはやては声を大にして言ってやりたい。 スバルは兎も角キャロの方は本当に子供なのだが、それはそれ。 通常業務に加えて初日の不始末の事後処理で忙しいというのに、その上さらに仕事を増やそうとする新人達に、はやては笑顔と青筋を浮かべて申請書を握り潰すのだった。 この軋轢のせいでチームワークがガタガタになってでもいれば、雷を落としてそれで済むのだが、通常の連携には何の問題も出ていないのが逆に厄介なのだ。 己の部隊の前衛の実態を改めて思い起こし、はやては再び嘆息を零す。 「……そ、そう言えば、新人の皆への新デバイスの受け渡しって、確か今日だったよね?」 沈んだ表情のはやてを横目で見遣り、フェイトは話題を変えるべく口を開いた。 その言葉にはやては顔を上げ、幾分か明るくなった表情で首肯を返す。 機動六課の誇る前線メンバーとメカニックスタッフが、技術と経験の粋を集めて完成させた、四機の最新型デバイス。 ローラーブーツ型インテリジェントデバイス――マッハキャリバー。 拳銃型インテリジェントデバイス――クロスミラージュ。 槍型インテリジェントデバイス――ストラーダ。 グローブ型インテリジェントデバイス――ケリュケイオン。 後者二つは未完成だった素体を調整完成させた正式版である。 部隊の目的に合わせ、そして使い手それぞれの個性に合わせて造られた四機の専用デバイスは、更に別の意味でも「特別」だった。 魔力炉と超小型螺旋エンジンのハイブリッド機関――実験的に搭載されたその新型動力炉が、実力や限界を超えた所謂「火事場の馬鹿力」をも本当の力に変えてくれる。 あくまで理論上は、であるが。 ともかく、これで新人達も実戦の用意が整った。 これで予想外の緊急事態にも対応可能な、確固とした下地が完成したのだ。 「これで漸くカリムにも顔上げて会えるわ……」 安堵したようにそう呟き、はやてはシートに背中を埋めた。 聖王教会の騎士、カリム・グラシア――機動六課の後見人の一人であり、人材集めに奔走するはやてに代わり機動六課立ち上げの実質的作業を引き受けてくれた恩人。 八年前、教会騎士団の仕事に派遣された時以来の付き合いとなる、上司というよりは姉のようなその人物に、はやてはどうも頭が上がらない。 そのカリムからはやては緊急の召喚を受けた。 騎士として聖王教会の中で高い地位にあるカリムは、その立場上聖堂から自由に出歩くということは出来ない。 よって何か用事がある場合は必然的にはやての方が教会に出向くことになるのだが、今回の召喚には何か不穏な予感が付き纏う。 少なくとも、呑気にお茶を飲んで無駄話するだけでは、とても終わりそうにない。 「……カリムの占いはな、よく当たるんよ」 粛然とした表情で口を開くはやてを、フェイトはちらりと一瞥した。 カリム・グラシアの保有するというレアスキル〝預言者の著書〟――詩文の形で未来を予言する能力のことを言っているのだろう。 はやてから又聞きした話では「よく当たる占い」のようなものらしいのだが、カリムが後見人として自分達機動六課に関わる理由も、その予言が大いに関係しているという。 当たるも八卦、当たらぬも八卦という占いとは違い、確かな力があるということだろう。 「ウチもな、一つ予言してやろ思う」 真剣な表情を崩さぬまま、はやては続ける。 「これからウチらの向かう先には……何かあるで」 確固とした口調で断言するはやてに、フェイトは思わず固唾を呑んだ。 「何かって……何が?」 震えそうになる声でそう尋ねるフェイトに、はやては真顔でこう答える。 「何かや」 「…………」 それは予言ではなく単なる勘というのではないだろーか……喉の先まで出かかったツッコミを、フェイトは辛うじて飲み込んだ。 言葉は力を持つ――第97管理外世界〝地球〟極東、はやての故郷〝日本〟に伝わる、「言霊」という概念である。 ミッドチルダ北部、ベルカ自治領。 そこはやて達を待ち受ける、はやての言うところの「何か」の存在に、二人はまだ気付いていなかった……。 天元突破リリカルなのはSpiral 第7話「これからウチらの向かう先には……何かあるで」(了) 戻る 目次へ 次へ
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銃の形をした召喚器。それはトリガーに過ぎない。 本来ならば、その身体を銃身とし、精神を火薬とする。 ならばその撃鉄は、この言葉であろう。 ――ペルソナ。 03 Burn My Dread 藤堂綾也は星が好きだ。月が好きだ。それらを抱く夜空が好きだ。 何故、と聞かれると返答に窮する。ただなんとなく、ぼんやりと好きと感じるだけだからだ。 幼少の頃、引き取ってくれていた義父とともに夜空を見上げることが多かった。もしかするとそのせいかもしれない。 十年前……両親を亡くし、綾也自身にも重大な惨禍をもたらしたあの事故の後。 ただでさえ親戚が少なく、なかなか引き取り手が現れなかった綾也の前に現れた人物。 それが彼の義父となる男、藤堂 尚也だった。 義父は不思議な人だった。子供心に、何かを感じ取った覚えがある。 その何かは綾也を惹きつけてやまなかった。 綾也が中学生になった時、同時に正式な養子となって性を貰った。 妙に嬉しく感じたのを、覚えている。 ミッドチルダの夜。綾也はあの頃と変わらないように見える月を見上げ、そして腕時計に視線を落とした。 あと数分で、影時間が訪れる。感慨に浸る時間もそろそろ終わりだ。 これからの事に、視線を向けるべきだろう。 目下の所、問題はシャドウの出所だ。自分の知る限りでは、あのように市街地に出現するのは少数のイレギュラー。 大半のシャドウは、「巣窟」のような場所にいる。と思われる。 それが以前のように巨大な塔だったら分かりやすいんだけど、と内心独りごちた。 「タルタロス」。ギリシア神話の冥界の最奥地、「奈落」の名を持つそれは、神話とは逆に天へと昇る広大な塔の形をしていた。 その正体は、以前の世界での有数の複合企業、桐条グループが起こした“実験事故”の影響で、影時間にだけ姿を現す迷宮だ。 桐条グループは、いや正確には、桐条鴻悦……つまり当時の桐条グループの総帥は、「時を操る神器」を作ろうとしていたらしい。 そのため、鴻悦はシャドウを研究し、その特性を調べていたそうだ。 しかしシャドウを調べるうち、鴻悦は次第に虚無感に苛まれ、世界の滅びを願うようになったという。丁度その頃から、鴻悦の研究は当初の目的とずれていった。 破滅願望をもった鴻悦は、世界を滅ぼす研究へと身を投じたのだ。晩年の鴻悦の狂気を、その孫娘はこう語る。 「祖父は、何かに取り憑かれているようだった」……と。 鴻悦の研究は進み、もう少しで実験が完成する、最終段階まで来ていた。最後の実験……その最中、一人の研究者による実験の強制中断によって、その研究は「実験事故」という形をもって終結した。 実験事故は同時に、大惨事を引き起こした。周辺一帯を吹き飛ばす程の大爆発、住民の被害も甚大。 この時、綾也は両親を亡くしていた。 そしてその実験事故の禍根はそれだけに留まらない。後腐れ、副産物とも言うべきものが発生していた。それが、影時間とタルタロスだ。 これは後に知った事なのだが、実際には、影時間の発生は大量のシャドウを集めたことにより、起こるべくして起きたことだという。 シャドウには微力ながら、時空間に干渉する力があると考えられている。そしてシャドウが寄り集まり、時空間に干渉する力が集積した結果、影時間が発生する。 シャドウを大量に集めた結果。時空間に干渉する力の集大成。それが影時間というのは、ごく自然に思われる。 つまり、影時間とは「シャドウの力の正しい表れ」なのだ。 そうなれば、この世界でもシャドウの力を集積、増幅させた何らかの要因、そしてその原因があるはずである。 シャドウの力を増幅させた何か、それがそのまま巣窟である可能性もある。が、それは考えにくい。 何故ならそんなことができるのは、シャドウの事をよく知る「人間」である可能性が高いからだ。 どちらにせよ、敵の居場所が分からない以上こちらからのシャドウへのアタックは不可能なのが現状。 とはいえ、今のところ戦力は綾也ただ一人。いくら綾也が強いといっても、一人で敵地に乗り込むのも危険過ぎるために、身動きが取れない。シャドウの巣窟を見つけたとしても、結局は動けないのだ。 何か、嫌な感じがする。 シャドウがこの世界に蔓延っているのは事実なのに、こんな膠着状態のままで落ち着いていていいのだろうか? 現状に対する不安や焦りが、綾也の心中にあった。 しかしひとまず綾也はそれを打ち消し、今できることに集中することにした。すなわち、六課の周辺にシャドウが現れた場合の掃討である。 攻めることはできなくても、守ることはできる。守ることしかできない、とネガティヴに考えることもない。 守ることができるというのは、それだけでも重要なことだからだ。 イレギュラーが発生した場合、機動六課の周辺だけならば、綾也一人でもカバーできるはず。 しかし……と、どうしても考えてしまうことがある。 (僕が、探査型のペルソナを持ってさえいれば……) ペルソナには、戦闘に向かない「探査能力」に特化したものがある。「生体エネルギー」のようなものを敏感に感じ取り、それを解析できる能力。 広域をサーチすることにも長けたこの能力は、今の綾也にとって必要不可欠なものだ。この能力さえあれば、シャドウの居場所や出所も突き止められるはずである。 しかし生憎、綾也は補助能力に特化したペルソナを持ちこそすれ、それはカテゴライズするなら「戦闘用」にすぎない。 数多のペルソナを使いこなし、どんな敵とでも戦ってきた綾也に欠けている能力。それは「戦わない」力。 探査能力のスキルや素質を、綾也は欠片も持ち合わせていなかった。 いわゆる、適材適所。ペルソナにもそれがあるということだ。綾也は今まで常に先頭に立ってシャドウを倒してきた。 リーダーという役割があったからだ。 その裏で、バックアップの役はいつでも存在していた。その大切さが、今になって身に染みる。これでも十分、その重要性は理解していた筈だったのだが。 溜息をつきたくなった。確かにイゴールの言うとおり、前途多難だ。 直後、体が異様な感覚を受けた。時間と時間の境界に足を踏み込む時の、あの一瞬の感覚。 深い暗闇に身を置いた時のように、胸の奥がざわざわとして、胃が空くような感触を受ける。 闇が頭上に迫り、覆い包まんと被さってくる。そして、月が不気味に光り輝く。 影時間の訪れだった。 綾也は素早く辺りを見回す。 この瞬間だ。シャドウの住処が影時間にだけ現れるのなら、影時間に入った瞬間、何処かになんらかの動きがあるはずだった。 少なくとも、シャドウの住処になるような巨大な場所が出現するのならの話だが。 しかし、そのような動きは見られなかった。つまり、シャドウの住処は堂々とそびえ立つような建造物ではない、ということになる。 もともとこれでシャドウの住処が見つかるとは思ってなかったし、「見つかればいい」程度に考えていたので、そこまでショックなことでもないのだが。 そして、本題はここからだ。イレギュラーによる被害を減らすための、パトロール。 古典的だが、先人の知恵は借りるもの。タルタロスや影時間を消そうとしていた先輩たちも、戦力が増えるまではこのようにゲリラのような活動をしていたと聞く。 召喚器を腰に、綾也は市街地へと繰り出した。 月明かりだけを光源に、とは言っても十分に明るいのだが、不気味に静まり返った市街地はさながらスプラッター映画の舞台のようでもある。しかし飛び出してくるのは殺人鬼ではなくシャドウだ。人を襲うという点で、似たようなものだが。 血溜まりのように足元に広がる赤い染みや、異様に明るい月に青緑に染まる空と地面。 所々に西洋風の棺が樹立している。適正無き人間の、象徴化した姿だ。 シャドウと影時間の影響を遮断する作用が、影時間の中において視覚化されたものである。 象徴化している人間はそもそも影時間に立ち入ってはおらず、適性のある人間からすれば、象徴化している人間は相対的に言えば「止まって」いる。 故に象徴化している間の人間は、影時間に起こるさまざまな事象に影響を受けない。しかしシャドウによって影時間に引きずり込まれた者は、シャドウの格好の餌食となるのだ。 餌食。自分で考えていて胸が悪くなる。見慣れた影時間の風景が、今は少し不快だ。やっとの思いで消した影時間が、この世界でも。 ぐちゅり、と背後で奇妙な音がした。 綾也は振り向き、道路に蠢く黒いわだかまりを認めた。青白い仮面が、同じく綾也を捉えている。 ホルスターから召喚器を引き抜いた。そのまま流れるような動作で銃を回転させ、その銃口をこめかみに向ける。 躊躇なく引き金を引きながら。 「タナトス!」 そして、死を司るその名を叫ぶ。と同時に現れる棺を纏う黒衣の死神。タナトスが、跳躍したその勢いのまま、その腰に佩かれている剣を引き抜くと、その身体を真っ二つにすべくシャドウに切り掛かる。 シャドウがその兜割りのような上空からの強烈な一撃を受けきれるはずもなく、敢え無く一刀のもとに両断された。 両断され、二つに分裂したシャドウはすぐに原形を失い、霧消した。役目を終えたタナトスはかすかに揺らぎ、消えていく。 綾也は召喚器をホルスターに戻す。 内心、拍子抜けしていた。手ごたえがまるでない。これまで幾度となく強敵を相手に戦ってきた綾也には、雑魚同然だった。 しかし、と気を引き締める。そんな雑魚でも、野放しにはしておけない。無力な一般人は、いかに惰弱なシャドウであろうとも、それから逃れることはできないのだ。綾也は散策を再開した。 シャドウは、人間の精神のエネルギーを餌として食らう。餌食となり、精神を食われた人間は心神を喪失し、完全な無気力状態に陥る。 こうなった人間は「影人間」と呼ばれ、誰かの保護なくしては生きてゆくことさえできないような状態に追い込まれるのだ。 つまりそれは、緩やかな殺害に他ならない。 ミッドチルダ……この大都市だ、イレギュラーの数も少なくないはず。 綾也一人ではどうしたってカバー出来ないところもある。多少の被害は、諦めるしかない。 しかし、影人間となった人を見殺しにすることもできない。 影人間を元に戻す方法が、ひとつだけある。大型の、他とは一線を画す強力なシャドウを倒すことだ。 これは強い力を持った、いわばリーダーを失ったシャドウの勢力の低下が原因と思われる。 しかしそれも一時的なものだ。いずれまた大型のシャドウが現れ、影人間が増殖する。 イタチごっこのようだが、それを続けなければいずれは全ての人たちが影人間と化してしまう。 それを防ぐためにも、不毛に思える戦いを続けなければならないのだ。 しかし無限に思われるそのサイクルに、どうすれば終止符を打つことができるのか。その方法は、おそらくこの世界の影時間を消す方法と同じはずだ。 シャドウの存在は、影時間と直接の関係はない。 しかしシャドウがその姿を現し、人を襲うことができるのは影時間の中でだけだ。 影時間を消せば、シャドウがこの世界に直接関与することはできなくなる。 シャドウの存在そのものを完全に消し去ることはできないが、シャドウがこちらに干渉してこれる時間を消すことで、シャドウによる被害は無くすことができるのだ。 そのためには、影時間を消す手がかりと、影時間ができた原因を突き止める必要が……。 結局、思考は堂々巡りだ。今は考えても無駄なこと。綾也は考えるのをやめた。とりあえず今は、この時間の中、出てくるシャドウを消していくだけだ。 そうすれば、少なくともこの周辺での被害は減るはず。 その綾也の考えは間違ってはいない。しかし、同時に一つ簡単な、それでいて重大な見落としをしていた。 シャドウが出現するのは、なにも屋外だけとは限らないのだということを。 機動六課、局内。 灯りは全て落ち、窓から差し込む月明かりだけが廊下を照らしだしている。 時の刻みが停止し、静寂に包まれた暗闇で、なのははひたすら走っていた。 背後に迫る気配。振り返らずともその姿はなのはの目に焼き付いている。影のように黒い体に、のっぺりと青ざめた仮面を張り付けたような異形。なのはは知る由もないが、「マーヤ」と呼ばれるタイプのシャドウだった。 最もポピュラーで、戦力もさほど高くない小型のシャドウ。マーヤは、仮面ごとに1~12までのタロットのアルカナになぞらえて分類される。 このマーヤのアルカナは、魔術師。逆位置の啓示を名に持つ、「臆病」のマーヤだ。 数あるマーヤの種類の中でも最弱の「臆病のマーヤ」だが、今のなのはにとっては十分な脅威となりうる。 マーヤは真っ直ぐに、獲物であるなのはを追っていた。 どうする?どうすれば。頼みの綱の綾也は、周辺のイレギュラー掃討に向かっている。 影時間が明けるまで帰ってこないだろう。救援は望めない。 この時間内、なのはは、それどころか六課全体は完全に無防備になる。魔術師の要のデバイスが使えず、機械も使えない。 こんな悪夢のような状況でできることと言えば、あのシャドウから逃げ続けることくらいだった。 しかしそれもいつまで持つか。戦闘時の機動を飛行魔法に頼っているなのはは、普段は極度の運動音痴。 持久力だって高くない。走り続けることもできなくなったら、待つのは死。それだけだ。 (そんな……っ) いくらなんでも、あんまりではないか。局内は安全だと思い込んだが故の危機。しかしその判断ミスを誰が責められよう。 シャドウは外からやってくるものだという認識が、四人の内に共通していた。 ほんの数分前、影時間が訪れてすぐのこと。なのはは六課の局内を捜索していた。 影時間の事を、局員にどう伝えるべきか。日中は、綾也が六課に入隊することを決めた後、なのはも含めた四人で、対策を話し合った。 結果、影時間に適応していない者にはそれを伝えず、適応者のみに影時間を打ち明けることになった。 適応していない、その事実をしらない者たちに真実を話したところで何ができるわけでもなく、いたずらに混乱させるだけだと考えてのこと。 不安を煽るメリットは、皆無だ。下手をすればこちらの正気を疑われかねない内容なのだから、尚更である。 よって、影時間に入ってから適応者を捜索するという手順に至り、影時間内での行動も、ここで決められた。 綾也は周辺のパトロール、残った三人は六課内部で適応者の捜索。 三人で手分けして、象徴化していない適応者を探す事になっていた。 しかし、まさかこんな事になるなんて。 とりあえず行くあてもなく、なのはが廊下を歩いていた時、不気味な音と共にそれは訪れた。 聞き覚えのある、気味の悪い音。なにかが潰れたような、得体の知れない奇妙な音。 恐る恐る振り向けば、そこにあったのは小さな黒い塊だった。丁度月の光が届かない、影になっている部分に生じている「何か」。 いや、正体は分かっている。この闇の中、生じる影よりもなお黒く昏いその異物。 塊は徐々に大きさを増し、奇妙な箇所から腕を二本生やすと、なのはの方を振り向いた。 大きさ、高さはせいぜいなのはの膝程度。昨夜のシャドウと同じように、光を全く映さないゴムのような表面。 仄かに発光している、青白くどこか物悲しげな表情をした仮面。その仮面が、なのはの姿を「見た」。 瞬間、なのはの背筋に氷柱が通ったがごとく全身が強張る。 マーヤがなのはの方へ滑るように向いだしたのと、なのはが逆方向へ逃げ出したのはほぼ同時だった。 一度覚えた恐怖は、そう簡単に拭い去れるものではない。この異形の正体を知っていても、それを前にして立ち向かうことなどできない。 昨夜出くわしたあの大型のシャドウとは違って体も小さく、腕だって二本きり。 その手に刃が握られているわけでもない。 少なくとも、あれよりは遥か格下の存在だということは分かった。 しかし風貌的に昨夜のシャドウを思わせるマーヤは、なのはの心の根元的な部分にある恐怖を呼び起こす。 この先一度でも立ち止まったら、きっとその場で動けなくなる。なのはは直感的にそう感じていた。 シャドウの動きは、ともすれば子供の駆け足並みに緩慢だった。しかし、それでいてなぜか振り切れないスピードでなのはを追ってくる。 足を必死に動かし続ける限りは、捕まることはない。しかし、影時間が明けるまで走り続けることができるのか。 綾也によれば、影時間はおよそ一時間。 (できっこない……!) だからと言って、諦めるのか。ここで己の生が終わる事を、よしとしていいのか。 目を、逸らしてはなりません…… 「!?」 心の奥底で、自分のものではない声がした。いや、本当に声だったのだろうか? なのはは呆然と立ち止った。漠然と心の中に溢れる、この不思議な感覚。心臓が、早鐘を打っている。 人が誰しも心に抱える恐れや怖さというものは、自分にとって何が危険なのかを教えてくれる重要なもの。 そして逆に言えば、何も恐ろしいと思わなくなったとき、人は立ち止まらなくなる。 自らの行いを、そしてその行動の結果を、恐れなくなるからだ。 人は、恐れに縛られれば、何もできなくなる。 かといって、恐れを全く抱かなければ、行動に犠牲を出す事すらを厭わなくなる。 真の恐怖を覚えた時、何が人を支えるのか。それは自分を信じる心。そして、自分の信じる何かへの信頼。それだけだ。 自分から眼を逸らさず、向き合ってこそ、恐怖へ立ち向かうことができるのだ。 背後のシャドウを振り返り、緩慢な動作で迫るそれを見据える。 なのははシャドウを通して、見詰めていた。真の恐怖の、その先にあるもの。 そして信じた。自分の力を。自分の中に眠る、可能性を。 (綾也君……) 心の中で彼の姿を思い描く。その後ろ姿が、拳銃を自らの頭に突き付ける。 なのはは、自分の手を銃を持つ形にしてこめかみに宛がった。 仮想のトリガーを握る指の動きが、彼の動きとリンクする。 今、この行為の意味が理解できた。必要なのは、勇気と覚悟。そして……この、言霊。 震える吐息を吐きだして、深呼吸を一つ。気持ちを落ち着かせて、一音ずつ、呟くように。 恐怖を燃やせ。 ……トリガーを、引いて。 「ペ・ル・ソ・ナ」 そして。 弾丸が放たれた。 なにかが弾けるような音とともに、なのはから精神の欠片である青白い結晶のような板が散乱し、そしてそれは徐々に人の姿を象って行った。 なのはを立ち止らせたその 声なき声 が、なのはの脳裏に囁きかける。 我は汝……汝は我……。 我が名は内なる仮面。 汝の心理に宿りし魂が刃。 我は汝の心の海より出でしもの。 白銀の車輪、アリアンフロッド。 極彩の虹もちて、あらゆる悪を調伏せしもの。 我、汝の運命の刻みと共にあらん……! 現れたのは、後光が差しこむように感じる光の女神、アリアンフロッド。 後光のように見えていたのは、一定の速度を保ちながら絶えず回転している、巨大な白銀の煌めく車輪だった。 その車輪はそれ自体が光を放っており、赤から紫へと七色のグラデーションを燈しながら周囲を染めている。 その光を受け、流麗に流れる絹糸のような頭髪。まさに虹のように光り輝き、その軌跡に淡い燐光すらを残してゆく。 その身にはゆったりとしたローブのようなものを羽織っており、額にはティアラを頂いている。 頭上には、天使の輪の如くに虹が浮かんでいた。 ゆっくり、誘うようにアリアンフロッドがその手を差しのべた。 するとその手は聖なる光を発し、虹のような七色のスペクトラムの流れがシャドウを射抜く。 たちまち蒸発を始め、もとから存在しなかったかのように、跡も残さずに消え去った。 それと同じように、白銀の車輪が揺らぎ、アリアンフロッドの姿も消えてゆく。 なのはは、召喚のショックからか、呆然とその光景を眺めていた。 「わたしが……ペルソナを、出せた……」 やがて呟いた一言には、紛れもない驚きが含まれていた。 あのとき自分は何をした?無我夢中で、心が導くままにトリガーを引いたのは覚えている。 あのときの不思議な感覚。シャドウに対する恐怖のくびきが抜き取られ、すべてがクリアに、鮮明に感じられた。 言葉にするなら……そう、覚醒。あれが、もう一人の自分。 アリアンフロッド、それがわたしのペルソナ。 わたしは、ペルソナを得たのだ。 余韻に浸る暇もなく、なのはは眩暈を感じると、そのまま意識を失い、倒れこんだ。 それからほどなくして、影時間が明けた。 最後のシャドウを消し終えた綾也の息は、少し上がっていた。 小一時間ぶっ通しで、唯一人現れるシャドウを倒し続けるのは、相手がいくら雑魚とはいえ消耗を強いられるものだった。 ともあれ、綾也は通常の時の流れに身を戻し、六課への帰路を急いだ。 何故か、自然と早足になる歩みを抑えられない。 問題はないはずだ。なのに、何か嫌な予感がしていた。ぼんやりと、実体をもたない漠然とした不安。 僕は、何か見落としをしている――? 何を見落としているのか。それがわかれば、スッキリするものを。 しかし、この不安は杞憂ではないと、直感的に感じていた。 ……急ごう。綾也は、ついに走り出した。 前へ 目次へ 次へ
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入手カードレベル:13 エリア エリア名 DP EX スタンプ カード1 カード2 カード3 カード4 31-1 八神堂エリートデュエル11 8 30~36 1200~1440 高町なのは[お部屋着小学生] 八神はやて[普通の小学生気分] レヴィ・ラッセル[元気系中学生] レイジングハートミ:A べ:? イ:C 31-2 八神堂エリートデュエル12 フェイト・テスタロッサ[普段着小学生] 八神リインフォース・アインス[八神堂店員] アミティエ・フローリアン[ふんわり長女] レイジングハートミ:? べ:? イ:F 31-3 八神堂エリートデュエル13 アリシア・テスタロッサ[T H店長の娘さん(姉)] 八神はやて[普通の小学生気分] レヴィ・ラッセル[リボン普段着] ---- 31-4 八神堂エリートデュエル14 リンディ・ハラオウン[T H店長] 八神ヴィータ[学校帰り小学生] アミティエ・フローリアン[ふんわり長女] レイジングハートミ:B べ:? イ:D 31-5 八神堂エリートデュエル15 リニス・ランスター[真面目なメイドさん] 八神はやて[八神堂店主] ユーリ&レヴィ[末っ子たちの応援] レイジングハートミ:? べ:? イ:A 31-6 VS アインス 報酬 八神リインフォース・アインス[八神堂店員] Lv 20 (LC+50) レベルマスタリーN 3個 (4000スタンプ)
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入手カードレベル:11 エリア エリア名 DP EX スタンプ カード1 カード2 カード3 カード4 24-1 グランツ研究所エリアマッチ16 7 22~30 960~1150 リニス・ランスター[真面目なメイドさん] 八神シグナム[剣道大学生] アミティエ・フローリアン[ふんわり長女] 24-2 グランツ研究所エリアマッチ17 アリサ・バニングス[リーダー気質小学生] 八神ヴィータ[趣味はグランドゴルフ] キリエ・フローリアン[マイペース次女] クラールヴィント A-C 24-3 グランツ研究所エリアマッチ18 フェイト・テスタロッサ[T H店長の娘さん(妹)] 八神ザフィーラ[近所の人気者] シュテル・スタークス[ゆるふわ普段着] クラールヴィント D-F 24-4 グランツ研究所エリアマッチ19 クロノ・ハラオウン[優等生な中学生] 八神シグナム[剣道大学生] ユーリ・エーベルヴァイン[優しい末っ子] 24-5 グランツ研究所エリアマッチ20 リンディ・ハラオウン[T H店長] 八神シャマル[研修中医大生] ユーリ&レヴィ[末っ子たちの応援] 24-6 VS キリエ 報酬 なのは&フェイト[N Fプレゼンツ] レアチケットピース 3枚 レベルマスタリーN 1個 (3300スタンプ) +2013/05/11変更 DP 10 → 7 EX 14~19 → 22~30
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スパロボW2週目55話からの分岐です。 なのでスパロボWのネタバレ注意 時間軸はJS事件後。で、六課運営期間延長済 種組はもとの世界に放置(種入るとスレチ扱いされそうですし) 一応メインはミヒロだけど、プロローグでは出てきません。 中二病臭がぷんぷんします。 ロボゲ板の某スレを知ったのが落ちた後なので見てませんので、似てたとしても関知しません。 というわけで、NGキーワードは「SRW外伝魔法少女リリカルミヒロ」でお願いします。 ザ・データベース…… 宇宙の死と新生を彷徨い知識と言う名の思ひ出を記憶する存在。 それは、時を経て変質し記憶した対象を破壊する存在になった。 そしてその変質の果てにひとつの終止符が打たれる。 感情が生まれ評論者の手ごまにされた推論者になった記録者は、 己が傀儡で動かされたことに気づき密かに妥当する力を作る。 それすら見通されているのにも気づかずに…… そして、知の記録の過程で起こった争いは冥王星で終結する。 「これが俺の、魂の一撃だぁぁぁぁ!」 ヴァルザカードのエクサノバシュート・オーバーが炸裂し 評論者の駆るサピエンティアは倒れた。 だが、悪は簡単には滅びない。サピエンティアを自爆させ次元の渦にすべてを飲み込もうとしたのだ。 ヴァルザカードは"知の記録者"のマスターシステムであるスキエンティアの心臓を抜き取り脱出しようとするが、次元渦の強大な引力よって大質量をもつヴァルザカードは引きずられていこうとする。 と言っても仲間を見捨てるはずがない。灯台守達は己が機体・肉体で繋ぎ止めようとする。 灯台守『ノイ・ヴェルター』の絆は強固であり、例え強度的に弱い部分があってもラムダドライバの意思の力で補強され、"最強の鎖"となってヴァルザカードを繋ぎとめた。 しかし……次元渦はその絆ごと飲み込もうとしたのだ。 ヴァルザカードと灯台守達は次元渦に飲み込まれる そして次元渦が消えたあとの宇宙には所謂"アークエンジェル組"(つまりラクシズ)だけであった… 55話外伝「魔法世界との接触」 ~次元の海~ そこには、ナデシコとヴォルストークがディストーションフィールドで身を守りながら漂っていた。 外に出てたパイロット達は既に収容されたが、この次元嵐によって航行システムおよび推進器が壊れ、ナデシコのホゾンジャンプもサピエンティアの爆発による次元嵐によってホゾンジャンプ関連のシステムが破壊されたため使用することができないでいた。 そのとき、ナデシコ・ヴァルザカードのカメラに白い船影が現れた。 「おや、どうやらあの戦艦から通信のようですね。」 と、影の薄そうな男ホリスが艦長に話し掛けた。 「つないでくださいな。」 ヴォルストーク(ヴァルザカードは既に合体を解除している。)の艦長シホミ・アーディガンはそう指示する 。 ちなみに、ヴァルアルム・アルムストラは始原文明エスの超技術で質量保存則を無視して小さくなってヴォルストークに着艦してます。(つまり、ス○ー○ラ○トで小さくなったと思ってください) 「こちら、時空管理局本局古代遺失物管理部機動六課所属L級改装艦船アースラ改艦長の八神はやてです。事件捜査中に次元振を観測し、急行したところ貴艦らを発見しました。こちらの指示にそって行動してくれれば貴方方を助けることができます。」 ~ヴォルストークブリッジ~ 「彼らの保護を受けるべきでしょうか」 と一緒にいるナデシコCの艦長のホシノ・ルリに相談する。 「とりあえず、この状況を打開すべきかと。ホゾンジャンプが使用できない現状ではもとの世界にもどる方法がありませんし。」 通信画面からはそのような現実的な答えが返ってくる。 そしてこんどはアースラへ通信を繋いだ。 「こちらは新・国際連合事務局直属部隊ノイ・ヴェルター所属ヴァルストーク艦長 シホミ・アーディガンです。貴艦の申し出に応じようと思います。」 その一言によりナデシコとヴォルストークはアースラの発するトラクタービームに引かれて、次元嵐のある一帯から抜け出していった。 「ねーちゃんたら親父と同じようなこと言っていやがる。俺にはグッサリやってきたってのによぉ」 「しかたないよ、こういうのは相手にあわせたほうがいいってお父さんも言ってたじゃない」 とぼやくのは着艦済みのヴォルホークに待機中のミヒロ・アーディガンとカズマ・アーディガン兄妹である。 「では、一時的に私達の保護下に入ってもらいます。それと、貴艦の様子を見る限り戦闘があったようですがこの時点を持って一切の戦闘行為をしないでください。あと……」 とはやては一度くぎってから 「私達の世界では質量兵器規制というものがあり、わたしたちの保護下に入るにあたって艦載機の封印処理を後ほど行いたいのですが、よろしいでしょうか?」 「わかりました。」 と短く声を発し通信は終了した。 それが、アーディガンファミリーの……いやミヒロ・アーディガンと魔法との出会いだった。 スーパーロボット大戦W外伝~魔法少女リリカルミヒロ~ たぶん、始まります。 目次へ 次へ
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入手カードレベル:12 エリア エリア名 DP EX スタンプ カード1 カード2 カード3 カード4 28-1 T Hノーマルクラスマッチ16 7 24~30 1120~1340 フェイト・テスタロッサ[普段着小学生] 八神ヴィータ[趣味はグランドゴルフ] アミティエ・フローリアン[ふんわり長女] レイジングハートミ:F べ:? イ:B 28-2 T Hノーマルクラスマッチ17 リニス2世[テスタロッサ家の愛猫] 八神ザフィーラ[近所の人気者] キリエ・フローリアン[マイペース次女] フォーチュンドロップミ:B べ:? イ:D 28-3 T Hノーマルクラスマッチ18 アリシア・テスタロッサ[T H店長の娘さん(姉)] 八神ヴィータ[趣味はグランドゴルフ] ディアーチェ・K・クローディア[ブラックスイート普段着] フォーチュンドロップミ:E べ:? イ:A 28-4 T Hノーマルクラスマッチ19 アリシア・テスタロッサ[海聖小学校生徒] のろいうさぎ[ヴィータの宝物] レヴィ・ラッセル[元気系中学生] 夜天の書ミ:A べ:? イ:C 28-5 T Hノーマルクラスマッチ20 リニス・ランスター[真面目なメイドさん] 八神シャマル[ほんのり医大生] ディアーチェ・K・クローディア[王の特訓] 夜天の書ミ:D べ:? イ:F 28-6 VS フェイト 報酬 なのは&フェイト[N Fプレゼンツ]×2枚 ユーリ&レヴィ[末っ子たちの応援] レアチケットピース 1枚 (3700スタンプ)
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仮面の告白 ◆Qpd0JbP8YI 許さない。 八神はやてがどんなに強くそう思おうと、結果は変わらない。 彼女は管理局の中でも非力さにおいては群を抜くもの。。 対する相手は常に前線に立ち続け、その生死の境界の中で戦闘技術を高めてきたベルカの騎士だ。 決着は一瞬でついた。 八神はやてが持つツインブレイズはヴィータの持つ槍で簡単に薙ぎ払われ その衝撃によって堪らず尻餅をつくはやての喉元に槍はそのまま突きつけられることになった。 このままヴィータの偽者に殺され、大切な家族を救うことなく死んでしまうのだろうか。 無手となったはやては悔しそうにヴィータを睨み付けた。 だけど、彼女の予想とは違っていつまで経っても、その槍ははやてを貫くことはなかった。 そのことに八神はやてが疑問を感じると、それに答えるかのようにヴィータの言葉がぶつけられてきた。 「何でだよ!」 ヴィータは吐き捨てるように叫んだ。 「何でお前はそんなにはやてに似てんだよ!」 彼女は八神はやてではない。 八神はやては足を動かせず、いつも車椅子に乗って移動をしている年端もいかない女の子だ。 何よりも自分の主である八神はやては簡単に他の人の命を奪うような人間ではない。 ヴィータの知る知識、持っている理性全てが目の前の人間を八神はやてでない、と言っている。 そう、断じて違うはずなのだ。 それなのに彼女はいつまで経っても、その槍先を動かすことが出来なかった。 「くそ! くそ!」 言葉に出来ない気持ち、身体を動かせない戸惑い。 その両方に苦しむヴィータはただ同じ言葉を叫ぶだけだった。 「……ヴィー……タ?」 はやてが呟いた言葉にヴィータの目が開かれる。 どうしても目に付くこの女と自分の主の類似点。 この女を見ているとどうしても思い出してしまう大切な主。 違う、違う! ヴィータは自分の頭に過ぎった考えを振り払うようにまた叫んだ。 「ウッセー! お前は喋るんじゃねー!」 ヴィータは手に持つ槍に力を込め、目の前の女を殺さんばかりの勢いで睨み付けた。 大体この女はギルモンを殺した憎むべき相手だ。放っておいていいはずがない。 このままにしていたら、自分の本当の主にも危険が及ぶかもしれないのだ。 するべきことは決まっている。こんな所で躊躇なぞしていられない。 そんな事は分かっている。分かってはいるけれど、ヴィータは動けなかった。 何故ならどう否定しようとも、相手が持つ顔は、声は、 自分が心から慕う八神はやての面影を強く残していたのだから。 「くそ! くそ! 何なんだよ、お前は!? 一体どうすればいいんだよ!?」 絶えず湧き起こり、自分でもその正体が掴めないその不確かな感情は、 彼女の中を満たし、既に溢れたそれは自分でも御しきることが出来ず、彼女を混乱させていった。 この女をギルモンのためにも、主のためにもブチのめさなければならない。 だけど、その肝心の相手が大切な人を思わせる姿形でいる。 その悪夢のような出来事は、例え目の前の人物がはやてでないと分かっていても 既に人としての感情を取り戻した守護騎士ヴィータを戸惑わせるのには十分なものだった。 「くそっ! くそっ!」 自分にはこの女を殺すことが出来ない。 忌々しいし、何よりもそんな自分を情けなく感じたが、 それがヴィータの出した結論だった。 彼女はその槍ではやての横のアスファルトを悔し紛れに思いっきり叩くと、 ギルモンの死体とバッグをかつぎ、逃げるように飛び去っていった。 * * 飛び去っていくヴィータを呆然と見つめるはやてに キングは飄々とした感じで話しかけた。 「弱っ! 君、マジで弱すぎ! そんなんでよく武器を持って立ち向かう気になれたよね。 君、馬鹿なんじゃない?」 人を馬鹿にしたような台詞に思わずはやては相手を睨み付ける。 しかし、キングはそれをどこ吹く風といった具合に相変わらずの口調で話しかけた。 「で、どうすんの? このまま大切な家族の偽者をのさばらせといていいわけ?」 「……勿論、追いかけるに決まってるやろ」 その言葉を聞いてキングは顔に浮かべていた笑みを一層増長させる。 だけど、続いて聞こえてきた言葉には拍子抜けするものを感じた。 「せやけど、今の戦いで足を捻ってしまったみたいなんよ。 私は地上本部の医務室に行って手当てしくるから ほんま悪いんやけど、その間辺りを見回ってもらえへん?」 「ダッセ! マジでダセーんだけど!」 余りに弱い人間。一瞬で戦闘が終わってしまうほどの非力さ。 こんなんで本当に自分を楽しませてくれるのか。 そんな疑問が湧き出ると同時に、いっそこのまま殺してしまおうかという思いが湧く。 だけど、キングは何とかその気持ちを抑えることが出来た。 人間にとって忌むべきはずの命を奪うという行為を 平然とやってのける八神はやての家族に対する思い、執念。 その異常ともいえる人間の姿など、そう滅多に見れるものではない。 きっとこの女はまだまだ楽しませてくれるはずだ。 それに戦力が足らないというのであれば、自分がそれとなくバランスを取らせてあげればいい。 戦力をある程度均衡にすれば、あんな一方的で一瞬で終わることもなく、 もっと存分にお互いを罵り合い、憎しみ合い、殺し合ってくれることだろう。 そうなれば、きっと先程より面白いショーが見ることが出来るはずだ。 そうしてその果てにどちらかが倒れたなら、残っている方に真実を教えてやればいい。 君たちが戦って、殺してしまったのは、君の本当の家族なんだよ、と。 その後の彼女たちの反応が楽しみだ。どんな顔をして楽しませてくれるだろう。 泣くか、悲しむか、怒るか、笑うか、狂うか、絶望するか? 全く人間とは本当に笑わせてくれる生き物だ。 「まあ、いいや。でも、早くしないと、あの偽者の子がどっか行っちゃうよ♪」 キングは顔の下にある酷薄な笑みが表に出るのを我慢しつつ、いつもの調子で話しかける。 そうして彼は心底愉快な気持ちで、足取り軽く、辺りの警戒に向かっていった。 * * キングが歩き出すと同時にはやても立ち上がり そして足を引きずり、痛そうに歩きながら地上本部へ戻っていった。 しかし、彼女はキングが完全に視界から外れることを確認すると、 その怪我したはずの足で平然と歩き始めていった。 そう、実際に彼女は怪我などはしていなかった。 ただキングという騒々しい馬鹿に邪魔されず、 一人落ち着いて考える時間を得るための方便だったのだ。 そして医務室に辿り着き、そこのベッドに腰掛けると、 彼女は早速先程に起こった一連の出来事について考えをまとめ始めた。 先の事で確認出来たことは三つ。 ヴィータを姿をした女の子は自分のことを知らないこと、自分の名前を知っていること、 そしてあの恐竜が死んで激昂したこと、恐竜の死体を持ち去るという非合理的な行動をしたこと、 何より殺人を躊躇ったことからして、人としての感情を持ち合わせている節があるということだ。 以上の三つだが、これだけでは答えなどは生まれず、茫漠とした考えが広がるだけだ。 しかし、そこにプレシアが持っているアルハザードの技術を当てはめると、事は違ってくる。 アルハザードは不可能を可能にする技術の集合体だ。 それを考慮すれば、幾分か馬鹿げているとは思うが、はやてには幾つかの可能性が思い浮かべることが出来た。 それは彼女が平行世界、異時間のヴィータであるということ、 もしくはそれらを元に作られた複製プログラム体。 普段ならこんな突拍子なく、滑稽な考えなど笑い飛ばしていたことだろう。 だけど、今は違う。寧ろ、そうでなくては困るくらいだ。 手に入れるべきものが自分の想像を遥かに超えるほど優れた技術であるなら それだけゴジラを倒す公算も高まるのだから。 そして彼女はこの世界に来て以来、いや、家族を失ったあの日以来、 本当に僅かだが初めて本当の優しい笑みをこぼす事が出来た。 もう二度と会うことが出来ないと思っていたヴィータに会うことが出来たのだ。 それはどんな邂逅であれ、嬉しくないわけない。 だけどそれも束の間、次の瞬間にははやての表情は元通り冷たいものとなった。 あの「ヴィータ」が「ヴィータ」であることは認めよう。 淡々とした表情で彼女はそう結論づけた。 ヴィータと同じ顔、姿、声、そして相手をつっぱねながらも、どことなく思いやってくれる性格。 彼女はそれを有していた。それは自分が同じ時間を過ごしたヴィータと変わるところがない。 だけどそれでも、はやては今以上彼女に心を許すことが出来なかった。 自分にとって本当の家族は、あの日、自分のために人柱となった守護騎士たちなのだ。 彼らは今も結界妖星ゴラスの中で苦しんでいる。 それなのにそんな彼らを放っておいて、他の人に笑いかけるなど、はやてには出来るはずもなかった。 そんな事をすれば、自分のためにその身を投げ打った家族の思いを踏み躙り、彼らを裏切るようなものだ。 彼女には家族を裏切るということだけは絶対に出来なかった。 だが、実際問題、あの「ヴィータ」は戦力となりうる。 彼女が「ヴィータ」であるならば、それは当然だろう。 そしてそれならば利用しない手はない。 あの「ヴィータ」が望む八神はやてを演じて、存分に道具として使い果たしてあげよう。 自分の本当の家族、ヴィータたちに会うために。 確かに先程は誤解により悲劇が起こってしまったみたいだが、まだ取り返しはつくだろう。 何といったって自分は八神はやてなのだ。 それは先程彼女が自分を殺さなかったことからも証明されている。 きっと付け入る隙はあるはずだ。 そこまで考えると、突然と医務室の扉が開かれた。 「ねぇ、いつまで待たせんの?」 ノックもなしに勝手に入ってくる不躾さ。 それだけでもこのキングがどれだけ人として不完全かを教えてくれる。 「あぁ、ごめんな。足の治療の他にも何か使えそうな薬、探してたんよ」 そう言い、いつの間にか手にとっていた治療薬を見せる。 ふーん、と興味なそうな顔をキングはぶら下げる それを尻目に八神はやてはもう一つの問題、キングについて思考を巡らした。 最初は駒として利用してあげようかと思ったが、この男はその価値もないクズだ。 状況をわきまえず、絶えずヘラヘラと笑い、緊張感を持たないカス。 人を小ばかにしたような尊大な態度を取るくせに、念動力しか使えないという戦力的に無意味なゴミ。 こんな人間の失敗作のような奴と一緒にいては、 十分に戦力が確保されることになっても士気低下に繋がりかねない。 戦闘において士気の差が実際の戦力以上に戦局を左右することは、 既に幾つかの知識と自らの経験において、はやては知っている。 なればこそ、士気の低下を招きかねないこの軽薄な小僧は邪魔でしかない。 いや、士気の低下だけで済めば、まだ良い方だ。 問題なのは、この低能のおかげで重要な戦力が削られてしまう可能性があるということだ。 例えばはやての知り合いであるなのはやフェイトなら、相手がどんな能無しであれ、 その人の身に危険がせまれば、身を挺しでも守ろうとする。 その結果、貴重な戦力が失われることになってはいけないのだ。 おまけにこのキングはこの状況に危機感を持てないほど頭が悪い。 自然となのはたちのような心優しき馬鹿の懸念を買ってしまい、 戦力の損失を招いてしまう可能性が高くなる。 そうならないためにも、早急にこの間抜けを排除する必要がある。 大体、あの「ヴィータ」との確執もこのアホが原因のような気がする。 八神はやては憎しみが表に出ぬよう、努めて愛想笑いを顔に浮かべた。 確かにこの愚物に対する判断を誤り、言を聞き入れてしまった責任ははやてにもある。 何ら身元が保証されていない民間人の発言を信じてしまうなど 部隊の指揮官としてはあってはならないミスだ。 だけど、彼の要らぬ助言のせいで、あの戦いの幕が上がったことも確かだ。 彼の言葉に嘘や悪意があったのかというのは彼女には分からない。 彼が見て、感じてきたことを素直に教えてくれたかもしれないし、 自分を嵌めようと何かを企んでいたのかもしれない。 だが、どちらにしろ、キングは排除すべき存在だ。 何故なら、嘘を吐いたのなら彼はゲームに乗った悪人であり、 嘘を吐いていないのなら、正確な情報を伝えることが出来ない無能ということだからだ。 そのどちらもはやてのの望む戦力に必要はない。 医務室の扉を出て、先を歩くキングの背中を見つめる。 今ならやれるだろうか。 思わずツインブレイズを持つ手に力がはいる。 そしてそこから発せられる収束されたエネルギーが 鮮明に奴の背中を貫くところがイメージでき、はやてを愉悦に浸らせる。 だけど、今の自分で勝てるかどうか不安なところがある。 如何にSSランクを誇る魔導師であれ、自分にはデバイスもない。 加えて自分の本分は遠距離からの圧倒的火力による制圧、殲滅にある。 接近戦では先の二の舞だろう。 やはり他の仲間に合流するまでは控えたほうがいいかもしれない。 いや、そもそも自分でやる必要はどこにもない。 先の出来事を全てキングのせいにして、ヴィータに殺させてみようか。 それならば自分はリスクを負うことなく、事を成し遂げられる。 いい策だ。 だが、それにも問題がある。 「ヴィータ」に会うまで、このクズと同じ時間を共有しなければならないということだ。 自分の持つ時間は自分の家族にこそ捧げるべきもの。 間違っても、この汚物のような人間にではない。 はやては腸が煮え返るのような思いで決意した。 いいだろう。 「ヴィータ」に会う前にチャンスが見つかれば、遠慮なく殺してあげよう。 その存在が誰にも見つからないように、優しく、丁寧に、丹念に殺しぬいてあげよう。 八神はやてはその顔の下で誰にも気づかれぬよう冷たく笑った。 【1日目 深夜】 【現在地 E-5 地上本部】 【八神はやて(sts)@魔法少女リリカルなのはFINAL WARS】 【状態】健康、怒り 【装備】ツインブレイズ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式×2、ランダム支給品1~3個(武器では無い) ランダム支給品1~2個(キングから貰いました) 医務室で手に入れた薬品(消毒薬、鎮痛剤、解熱剤、包帯等) 【思考】基本 プレシアの持っている技術を手に入れる 1.「ヴィータ」を追いかけ、彼女を戦力に加える 2.チャンスがあればキングを排除する 3.首輪を解除できる人を探す 4.プレシアに対抗する戦力の確保 5.以上の道のりを邪魔する存在の排除 【備考】 ※参戦時期は第一話でなのは、フェイトと口喧嘩した後です ※名簿はまだ確認してません ※プレシアの持つ技術が時間と平行世界に干渉できるものだという考えに行き着きました ※ヴィータの他、この場にいるかもしれない守護騎士たちに優しくするのは、 自分の本当の家族に対する裏切りだと思っています ※キングのことは、ただの念力が使えるだけの少年だと思っています 【キング@魔法少女リリカルなのはマスカレード】 【状態】健康、非常に上機嫌。一時間変身不可(コーカサスビートルUD) 【装備】無し 【道具】ライダーベルト(カブト)@魔法少女リリカルなのはマスカレード キングの携帯電話@魔法少女リリカルなのはマスカレード 【思考】基本 この戦いを全て滅茶苦茶にする 1.面白そうだから、はやてとヴィータの戦いを見物する 2.カブトの資格者を見つけたら、ゲームでも持ちかける。でも、飽きたら殺す 3.はやてとヴィータの決着が着いたら、残ったほうに真実を伝えて、その反応を楽しむ 4.とにかく面白いことを探す 【備考】 ※制限が掛けられている事に気がつきました ※ゴジラにも少し興味を持っています ※携帯電話は没収漏れです。写メ・ムービー以外の全ての機能は停止しています。 ※携帯には相川始がカリスに変身する瞬間の動画等が保存されています。 ※キングの携帯に外部から連絡出来るのは主催側のみです。 ※カブトの資格は持っていません ギルモンの死体を担ぎ、彼をどこかに埋葬してやろうとヴィータが奔走していると 突然と遠くから声が聞こえてきた。 足を止め、その内容を聞いてみると、 どうやら声の持ち主は時空管理局執務官のクロノ・ハラオウンであるらしいことが分かった。 「あいつか……」 ヴィータは呟く。 彼女は彼のことをいつかの対峙とその時のご大層な名乗りのおかげで覚えていた。 だけど、問題は彼が誰かということではない。 これから彼に対してどう振舞うべきかだ。 普段のヴィータなら管理局などに助けなどは求めはしない。 自分の主を捕らえようとする勢力だ。当然、排除して然るべき相手だ。 だが、今は普段とは状況が違う。 この殺し合いという狂ったゲームの真っ最中だ。 更に未だ主を見つけられず、いつ主を殺されてもおかしくない状況。 管理局の連中に助けを求めた方がいいのではないか。 非殺傷を旨とし、正義のお題目を掲げる管理局員なら、 こんな状況の中でも、殺人を良しとせず、主の命を守ってくれるのではないか。 そんな考えが彼女の頭の中に過ぎる。 だけど、それには当然無視出来ないことが付いて回る。 管理局員と一緒にいれば、殺し合いを無事に脱出できたとしても、 闇の書の主である八神はやては当然管理局に逮捕されてしまうことになるだろう。 そうなれば、あのみんなで過ごした幸せな生活は二度と送ることが出来なくなる。 「そんなのは嫌だ!」 ヴィータは思わず叫ぶ。 闇の書の守護騎士プログラムとして長きに渡り生きてきた中で、 図らずも手に入れることが出来た幸せ。 戦いに明け暮れていた自分たち守護騎士が主と共に笑うことの出来た日常。 それは彼女にとって掛け替えのないものだった。 それが失われるのは、彼女にとって我慢のならぬものであった。 だけどこのまま自分一人では、未だ見つからぬはやてを守るというのにはどうしても限界がある。 「くそっ! 一体どうすればいいんだよっ! なぁ、はやて!!!」 彼女の悲痛な叫び声が夜に木霊した。 【1日目 深夜】 【現在地 D-4】 【ヴィータ@魔法少女リリカルなのはA s】 【状態】疲労(小)、左肩に大きな切り傷、激しい怒りと悲しみ、激しい迷い 【装備】ゼストの槍@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式×2、デジヴァイスic@デジモン・ザ・リリカルS&F ランダム支給品0~3 【思考】 基本 はやてを救って、元の世界に帰る 1.クロノに対する行動を決める 2.ギルモンを埋葬する 3.八神はやて及び他の守護騎士たちとの合流 そして彼らに偽者の八神はやてがいて、殺し合いに乗っていることを伝える 4.ヴィヴィオを見付けた場合は、ギルモンの代わりに守ってやる 【備考】 ※はやて(StS)を、はやて(A s)の偽物だと思っています ※デジヴァイスには、一時的に仮パートナーとして選ばれたのかも知れません。 ※なのは達のデバイスが強化されたあたりからの参戦です Back 最初からクライマックスなのか!? 時系列順で読む Next コピーベントの罠! ナンバーⅤ危うし(前編) Back 最初からクライマックスなのか!? 投下順で読む Next コピーベントの罠! ナンバーⅤ危うし(前編) Back 家族(後編) 八神はやて(StS) Next パンドラの箱は王の手に Back 家族(後編) キング Next パンドラの箱は王の手に Back 家族(後編) ヴィータ Next 盟友(前編)
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残酷な神々のテーゼ(後編) ◆RsQVcxRr96 キャロは走りながら考え込んでいた。 自分の隣を走っているのは同僚であるスバルの姉、ギンガ・ナカジマ。 一時は機動六課に出向していた事もあり、顔馴染みの存在ではあった。 だからこそ再会した時は本当に安心したし、心の底から嬉しかった。 しかし、そんな安心できる時間はすぐに終わってしまった。 突然の襲撃――そして逃避行。 正直キャロの精神は再び疲弊しかけていた。 それでもここまで必死に折れそうな心を懸命に支えてきている。 道すがらギンガは同行者のインテグラル卿について話をした。 インテグラル卿が死ねば、アーカードという化け物を止める術がなくなる事。 そうなればますます悲惨な状況になる事。 だから何としてもインテグラル卿を救わねばならない事。 ギンガがキャロに話した内容はそのような事だった。 (吸血鬼、アーカード……) 聞けば聞くほど恐ろしい化け物だ。 先程の電撃を放つ男も恐ろしいが、アーカードも同等の強さらしい。 桁違いな化け物が2人、いや実際はもっといるだろう。 そんな中で自分は何ができるのだろうか。 答えが出る訳でもなくキャロは今度の事を考えて、一層悩んでしまう。 「あれは、川!」 ギンガの声を聞いて目を前方へ向けると、確かに川が見えた。 今目指している場所はHELLSING本部。 インテグラルが勝手知ったる場所であり、そこなら治療ができるかもという事で目的地に定めていた。 つまりここで西へ進路を向け、橋を渡る必要がある。 「急がないとインテグラル卿が……行くわよキャロ!」 「え、あ……はい」 キャロは的確な判断を下して道を示してくれるギンガが少し羨ましかった。 それに比べて自分は何ができるのだろうと、知らず知らずのうちに自身を顧みてしまう。 自分がしている事と言えば、インテグラル卿のデイパックを背負ってギンガの後に遅れないように付いて行く事ぐらいだ。 なんだか少し情けないような気もした。 でも今はここが自分の居場所。 だからこそ全力で守りたい。 自分のポジションはフルバック――素早く動いて仲間の支援をするポジション。 全て機動六課で学んできた事だ。 今は十分に力になれなくても、自分にできる限りの事は頑張ろう。 キャロは心の中でそういう風に折り合いをつける事にした。 しかし神は残酷だった。 「――ッ! トライシールド!!」 「プ、プロテクション!!」 「――!!」 突然の襲撃だった。 天より漆黒の鎧を身につけた人物が手持ちの刃を振り落とし舞い降りてきた。 避ける間など無かった。 二人にできた事は咄嗟に防御魔法を展開する事だけだった。 刃と防御魔法が鎬を削り、程なく漆黒の戦士が反動を付けて少し離れた場所に着地した。 幸い今の間で直撃だけは免れたが、ギンガもキャロも今の攻防で相手の実力が並々ならぬ事を実感していた。 このままでは三人とも無事では済まない。 「キャロ、なんとか一瞬でいいからあいつの攻撃に耐えて。その隙をついて私が吹っ飛ばす」 「分かりました。やってみます」 即興で出されたギンガの提案は綱渡りのようなものだった。 だが二人に悩んでいる時間はない。 もう既に相手は攻撃の準備を終えたようだった。 ――DRILL―― ――TORNADO―― ――SPINNIG ATTACK―― 「プロテクション!!」 敵の攻撃は先程とは違って回転しながらのキックで、威力も上がっていた。 だがキャロも負けてはいない。 若干の猶予があったため先程とは違ってしっかりと防御魔法を展開する事ができた。 そのおかげでキャロ一人でも奇跡的に一瞬の均衡を生み出す事に成功していた。 (よし、これでギンガさんが敵に一撃を与えれば……) おそらく敵の注意は自分のみに向いているだろうとキャロは確信していた。 つまり今は攻撃を仕掛けるには絶好の機会だ。 やっとギンガさんの助けになれる、自分の居場所を守る事ができる。 キャロはすぐに来るその瞬間は待ち望んだ。 ――しかし…… (な、なんで!?) 時間にしては数秒にもなっていない。 だがギンガが攻撃を仕掛けるには十分な時間のはずだ。 それなのにまだギンガの攻撃はない。 もう防御魔法を維持するのも限界だというのに、何も起こらない。 「キャァ――ッ!!」 程なく防御魔法は破られて、キャロは地面に身体を打ちつけながら二転三転した。 対して漆黒の戦士にほとんどダメージはなく、無慈悲にも手に持った刃をキャロに向けていた。 二人の距離は僅か数歩というものだった。 (ギンガさん……なんで……) キャロの心を埋め尽くすのはただそれだけ。 あそこでギンガが攻撃を与えていたならば、勝っていたのは自分達のはずだった。 いったい何が起こったのだろう。 心中に浮かぶ疑問に答えを求めて、キャロは傷ついた身体を動かして後ろを向いた。 「え?」 後ろ、つまり川べりには誰もいなかった。 慌てて周囲を見渡しても、ギンガの姿は見つけられなかった。 「うそ……?」 今度は痛む身体を起こして周囲をぐるりと見渡してみる。 やはりどこを見てもギンガの姿はどこにもなかった。 そしてキャロはもう一ついなくなっている人物に気付いた。 「インテグラル卿も……いない?」 ギンガに加えてインテグラルの姿もまたどこにもなかった。 今ここにいるのはキャロと素性の知れない襲撃者だけだった。 それ以外には誰もいない。 (なんで……なんで、ギンガさんとインテグラル卿が――!?) そこでキャロは先程ギンガが言っていた事を思い出した。 曰く、アーカードを止めるためにもインテグラル卿は絶対に守り通さなければならないと。 そして現状キャロは一人取り残されて、ギンガとインテグラルの姿はない。 つまりは―― ――ギンガはキャロを囮にしてインテグラルと共に逃げた。 そんな考えがキャロの頭をよぎった。 キャロはその考えをすぐに否定しようとした。 でも、それなら、なぜギンガとインテグラルがいないのか説明できない。 少なくとも数秒前までは確かにいたはずだ。 ではいなくなったのはその直後。 折しもキャロが必死で襲撃者の攻撃を防いでいる時だ――ギンガの提案に従って。 (そんな……そんな……ギンガさんは、ギンガさんは――!!) もしも何かあったなら念話なり掛け声なりあるはずだ。 それもなくて忽然と姿を消したという事は、やはり―― 「――私を囮にして……インテグラル卿を守るために、逃げた?」 確かに目の前の人物は二人掛かりでも勝てるかどうか不安な敵だ。 それなら優先順位を考えて囮で気を引いて、その間に守るべきインテグラ卿と安全な場所まで逃げる。 実に合理的な考えだ。 しかしキャロには信じられなかった。 あのギンガが自分に対してそんな事を相談もせずに行うなど信じられない、いや信じたくなかった。 だからキャロはこの場で唯一答えを返してくれそうな人物へ問いかけた。 「あの、私の後ろにいた二人は?」 問いかけられた漆黒の戦士は黙ったままだった。 表情は隠れていて全く分からない。 一緒にいるだけで不気味な存在だった。 今まで出会った危険な人物とはまた違ったものがあった。 だからこそほんの少し期待したのだが、それは外れだったようだ。 「倒れていた女と、紫髪の女なら――」 「え!?」 どういう風の吹きまわしか不意に答えが返ってきた。 キャロは返ってくる答えを大人しく待ちわびる。 「君と対峙した時に――」 キャロはその答えを待つ。 その答えが自分の望む答えであると信じて、最悪な答えでないと信じて。 「逃げられたよ」 「え?」 『逃げられた』と目の前の敵は言った。 ここで敵が嘘を言う理由はないだろう。 どうせこのままでは自分は殺されてしまうのだろうから。 つまり今言われた事は紛れもなく真実。 それが意味する事は疑いの余地もない真実。 そう言葉の通りの意味だ。 ――ギンガ・ナカジマはインテグラル卿を守るためにキャロ・ル・ルシエを囮にして逃げた。 そうただそれだけだ。 つまりギンガにしてみれば、ある程度親交のあった自分よりもここで初めて会ったインテグラル卿の方を優先した。 そうただそれだけのことだ。 合理的に考えれば、これからの事を考えれば、そうなるのだろう。 でも! でも!! でも!!! 言葉にできない激情が胸の奥で暴れ回る。 自分はただ居場所を守りたかっただけだ。 だからこそ必死で頑張ったのに、この仕打ちだ。 相手の言い分も頭では分かる、でも心が受け付けない。 「つまり、私は捨て石……また捨てられたんだ……」 強大な力を持っていたために部族を追放された。 その後も管理局ではその力のせいで厄介者扱いをずっと受けてきた。 でも、それもフェイトに救われて終わったはずだった。 そう、こんな所にさえ連れて来られなかったら、ずっと自分の居場所はあそこだったはずだ。 それなのに、それなのに、それなのに!!! 「ごめん。すぐに楽にするから」 自分に掛けられる声に気付いて顔を上げると、そこには刃を振り翳す敵の姿があった。 あの刃が振り下ろされれば、ここで終わる。 何もかも、全て、嬉しかった事も苦しかった事も悲しかった事も楽しかった事も終わる。 「イヤ」 そんなのは嫌だった。 こんな仕打ちはあまりにも理不尽ではないか。 認めたくなかった、信じたくなかった。 こんな心に虚しさが残ったまま死ぬのは嫌だった。 金髪の青年に殺されかけた時はあっさり生を諦められたのに、今は生を諦める事が出来ない。 「イヤ、こんな所で死にたくない……」 「さようなら」 「――――――――ッ!!!!」 神は残酷だった。 ▼ ▼ ▼ 「ハァ、ハァ、ハァ」 川沿いに建てられた小屋で一人の青年が疲れた身体を癒していた。 相川始だ。 A-7から南下して始はカリスの姿のまま川まで来ると、川越えのためにドラゴンフライフロートを使用した。 まずは市街地に行く前に目指したのは人が集まりそうな駅だ。 そのために回り道をする気はなくカードの力で飛行能力を得ると、一路駅を目指すはずだった。 そこでカリスは眼下を走る3人組を見つけた。 見たところ走ってきた方角から駅から逃れてきた可能性が高い。 そう判断すると、目標を眼下の3人組に変更した。 見敵必殺。 栗原親子の元へ戻るためには手段は選んでいられなかった。 ドラゴンフライフロートを解除して、重力に従ってカリスアローで斬りかかった。 しかし予想外な事に3人の内2人は不思議な力を使って、カリスの攻撃は防がれてしまった。 何の力もない一般人と思っていたばかりに、カリスは少々焦った。 ならばと、2枚のカードをラウズして『スピニングアタック』で決着をつける事にした。 1回目の攻防からこれで十分だと踏んでの選択だった。 結果は予想外の事もあったが、こちらが勝った。 幼い少女を手に掛ける事に微かな気兼ねがあったが、目的のためには仕方なかった。 そして刃を振り落として自分の手は血に染まるはずだった。 そうなるはずだった。 「いったい、あれは何だったんだ!?」 それはカリスアローを振り落とそうとした時だった。 その瞬間、カリスは言い知れぬ雰囲気を感じていた。 そして本能が叫んだ――不味いと。 バトルファイトを勝ち抜いてきて得た勘が離れろと警告していた。 カリスは本能に従って、止めを刺さずにあの場から離れる事にした。 何が原因かは薄らと分かっていた。 少女の手に中にあった何かが光っていた。 それは怪しげな光だった。 おそらく原因はあれだろう。 「ひとまずは身体を休めた方がいいかな」 あの場から離れて始が休息に選んだのがこの小屋だ。 今はカリスの姿ではなく、相川始の姿だ。 ずっとカリスに変身したままの方が便利ではあるが、それではAPが尽きてしまう。 一度変身を解けば次の変身まで1時間待たなければいけない事も数時間前に把握した。 つまり後1時間はカリスへは変身できない。 もっともジョーカーへの変身はできるかもしれないが、何か制限があるかもしれない。 文字通り奥の手として滅多な事では使わない方がよさそうだ。 「1時間か」 次に動くまであと1時間。 戦士はしばしの休息に入った。 【1日目 早朝】 【現在地 D-6 川沿いの小屋】 【相川始@魔法少女リリカルなのは マスカレード】 【状況】健康、1時間変身不能(カリス) 【装備】ラウズカード(ハートのA~10)@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【道具】支給品一式、ランダム支給品×1 【思考】 基本:栗原親子の元へ戻るために優勝を目指す。 1.とりあえず変身できるようになるまで休息する。 2.見つけた参加者は全員殺す(アンデットもしくはそれと思しき者は優先的に殺す) 3.川を辿って市街地を目指す。 4.あるのならハートのJ、Q、Kがほしい。 【備考】 ※参戦時期はACT.5以前。なのは達の事は名前のみ天音より聞いた事がある(かもしれない)程度です。 ※自身にかけられた制限にある程度気づきました。 ※首輪を外す事は不可能だと考えています。 ※「他のアンデットが封印されると、自分はバトルファイト勝者となるのではないか」という推論を立てました。 ※相川始本人の特殊能力により、アンデットが怪人体で戦闘した場合、その位置をおおよそ察知できます。 ▼ ▼ ▼ キャロは一人だった。 なぜあの時、死ななかったのか理由は分からない。 でも今は生きている。 それだけで今は十分だった。 これから何をするのか今は考えられない。 ただ心に少し空洞ができた。 そんな事をキャロは考えていた。 キャロは知らない。 自分に支給されたもう一つのものの正体に。 その名は『スケィス』 巫器(アバター)と言われる憑神鎌<死の恐怖> このスケィスが正にキャロに死が迫った時に起動しかけた。 その時の力にカリスは本能的に回避を選択したのだ。 しかし結局スケィスは機動しなかった。 なぜか。 巫器を起動させるのには所有者が心に何らかの喪失を抱え、それに伴う強靭な意志を発揮しなければならない。 起動には心の虚が必要なのだ。 つまり先の出来事においてキャロには心の虚が足りなかったという事だ。 親しい間柄と言ってもスバルの姉で頼りになる人というのがキャロのギンガに対する大体の印象だ。 直前にバルディッシュの喪失、インテグラルの瀕死があっても、後一歩キャロの心の虚になり得るには足りなかった。 だがもしもそれに足り得る出来事が起こったのならば、その時はおそらく起動するだろう。 その時まで灰色の球体は静かに待つ。 まるで姫を守る騎士のように。 【1日目 早朝】 【現在地 D-7 川の畔】 【キャロ・ル・ルシエ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】疲労(大)、魔力消費(中)、脇腹に切り傷・左太腿に貫通傷(応急処置済み)、茫然自失、ギンガへの不審感 【装備】憑神鎌(スケィス)@.hack//Lightning 【道具】支給品一式×2、『かいふく』のマテリア@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、葉巻のケース 【思考】 基本:殺し合いを止める。殺し合いに乗っている人がいたら保護する。 1:……何も考えられない。 2:仲間を探し合流する。 [備考] ※別の世界からきている仲間がいる事に気付いていません。 ※憑神鎌(スケィス)のプロテクトは外れておらず、待機形態のままです。 【憑神鎌(スケィス)@.hack//Lightning】 巫器(アバター。SSでは呼称未登場)の第一相<死の恐怖>。 ロストロギアによって構成された、エリオの用いる術式不明の大鎌型デバイス。 通常は全プログラムに強固なプロテクトが掛けられており、セットアップも、名前以外のデータを閲覧する事も不可能。 ただし、持ち主が心に何らかの喪失を抱え、それが齎す強靭な意志を発揮した時に初めてその力を起動させる。 以降はプロテクトが解除され、起動もデータ提示も普通に可能となる。 腕には禍々しいラインを持ったガントレットが装着され、それによって憑神鎌の重量は、限りなく持ち主に最適化される。 普通に切り裂くだけでも絶大な威力を発揮するが、その他にも以下のスキルを使用可能。 ショット……手のひらから魔力弾を発射する。連射可能。 死ヲ刻ム影……通称データドレイン。魔力結合に干渉・改竄する能力を持った必殺技。 ▼ ▼ ▼ 「ヤハハハ、さてもうそろそろいいだろう」 半壊状態の駅員詰所に居座るのは、それに似つかわしくない神だった。 エネルは自身のデイパックから時計を取り出して時間を確かめた。 先程宣告した刻限から5分経っていた。 エネルがゲームと称して5分間待つと言ったのは、もちろん文字通りの意味もあるが別の意味もあった。 それは休息だ。 さすがにあれだけ力を使えば多少は疲れる。 それに加減が分からないのも要らぬ疲れを生む原因だった。 つまり少しだけゆっくりと休む時間が欲しかったのだ。 「それにしても……」 ふと眼下の矢車の変わり果てた姿を少し目に入る。矢車の姿は悲惨だった。 胸にはクロスミラージュごと鉄の矛がボロボロの状態で刺さっている。 幾度となく浴びせた電撃で鉄の矛が耐えられなくなった結果だ。 すぐに興味を無くしてエネルは心網で捉えた動きを考えていた。 あの3人は病院がある南に向かうと思っていたが、意に反して北へと向かった。 そして川まで行ったところで新たな者と接触があった。 何があったかは分からないが、その内2人がその場から離脱していった。 少しして残った二人もまた別れた。 如何せん心網の範囲が制限されているせいか、はっきりとは分からなかったので確信は持てない。 だがあの3人が北へ向かったのは確かだ。 そうは言っても北は自分が来た方角だ。 そこへ戻ってもいまいち面白くないような気がする。 (さて、悩むな) 【1日目 早朝】 【現在地 E-7 半壊した駅員詰所】 【エネル@小話メドレー】 【状態】疲労(小) 【装備】ジェネシスの剣@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使 【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3 【思考】 基本:主催者も含めて皆殺し、この世界を支配する。 1:どこへ行こうか。(どこへ向かうかは後続の書き手にお任せします) 【備考】 ※黎明の終わり際に駅にてエール・トールが放たれました。近くにいたら見えたかもしれません。 ▼ ▼ ▼ HELLSINNG本部。 少し前に最凶の吸血鬼が訪れたこの場所に新たな訪問者が現れた。 数は二人。 紫の髪に茶色の制服を着た少女と、全身に火傷を負っている女性。 あの場から忽然と姿を消したはずのギンガとインテグラルであった。 ギンガはインテグラルを背負いながら、あの時の事を思い出していた。 キャロは期待通り敵の攻撃をきちんと防いでくれた。 次は自分の番だと思って走りだそうとしたその時、ある光景を目にしてしまった。 それは川べり付近に倒れていたインテグラが今にも川に落ちそうになる瞬間だった。 インテグラルが一度目の攻防の際に振り払われて、背中からずり落ちて川べりで止まっているのは見た。 あの位置なら落ちないと思っていたが、運悪く落下の衝撃で目を覚ましたようだった。 さらにふらつく身体を無理に動かそうとして、バランスを崩して落ちる間際まで陥っていた。 (危ない!) そう思った瞬間には身体はインテグラルの方へ走り出していた。 ギンガはインテグラルを引き寄せたらすぐさま戻るつもりだった。 しかし事態は最悪な方向へ転がってしまった。 あろう事か、助けに入った自分もインテグラに引きずられる形でバランスを崩してしまったのだ。 あとは二人とも川に落ちて、今になってやっとこさ岸に上がれたという訳だ。 不幸中の幸いか、目の前に目的地があったのは僥倖だった。 だが、それでもギンガの心は晴れない。 (キャロ……ごめんなさい……) 恐らくキャロは殺されているだろう。 自分の不注意のせいで。 そうだ。 また自分のミスで仲間を危険な目に遭わせてしまった。 そしてこれは最早取り返しのつかない事だ。 神は残酷だ。 この会場の夜は明けた。 だがギンガの中ではまだ夜明けは来ていなかった。 【1日目 早朝】 【現在地 D-5 HELLSING本部前】 【ギンガ・ナカジマ@魔法妖怪リリカル殺生丸】 【状態】顔面に打撲(小)、疲労(大)、キャロへの罪悪感、ずぶ濡れ 【装備】コルト・ガバメント(7/7)@魔法少女リリカルなのは 闇の王女 【道具】支給品一式×2、ゼクトバックル(ホッパー)@魔法少女リリカルなのは マスカレード、ランダム支給品0~2(確認済) 【思考】 基本:この殺し合いを止め、プレシアを逮捕する。 1:HELLSING本部にてインテグラの治療を行う。 2:インテグラを護衛し、アーカードを捜索する。 3:できる事なら誰も殺したくはない。 4:可能ならば、六課の仲間達(特にスバル)とも合流したい。 【備考】 ※なのは(A s)、フェイト(A s)、はやて(A s)、クロノの4人が、過去から来た事、また一部の参加者はパラレルワールドから来た人間である事に気付きました。 ※「このバトルロワイアルにおいて有り得ない事は何一つない」という持論を持ちました。 ※制限に気がつきました。 ※インテグラがいなくなった後のアーカードに恐怖を抱き始めました。 ※アーカードを暴走させないためにも何としてもインテグラを守るつもりです。 【インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング@NANOSING】 【状態】疲労(中)、全身に軽い火傷、ずぶ濡れ、気絶中 【装備】なし 【道具】なし 【思考】 基本:この殺し合いを止め、プレシアを叩きのめす。 1:気絶中。 2:地図上のHELLSING本部に向かう。 3:アーカードと合流し、指揮下に置く。 4:できる事なら犠牲は最小限に留めたいが、向かってくる敵は殺す。 【備考】 ※同行しているギンガが自分の知るミッドチルダに住む人間ではない事、一部の参加者はパラレルワールドから来た人間である事を把握しました。 ※アーカードは参加者に施されているであろう制限の外にあると思っています。 【矢車想@仮面ライダーカブト 死亡】 【残り51人】 ※E-7の駅にある駅員詰所は半壊状態になりました。(駅そのものへの被害は軽微) ※矢車の死体は黒焦げで胸に鉄の矛を刺したままE-7の駅(半壊した駅員詰所)に放置されています。 ※クロスミラージュ@魔法少女リリカルなのはStrikerS(矢車の胸ポケットの中)は鉄の矛に貫かれて破壊されました。 Back 残酷な神々のテーゼ(前編) 時系列順で読む Next 光が紡ぐ物語 投下順で読む Next 遠い声、遠い出会い 相川始 Next タイムラグは30分(前編) エネル Next タイムラグは30分(前編) インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング Next 誇りの剣 ギンガ・ナカジマ Next 誇りの剣 キャロ・ル・ルシエ Next 勇気のアイテム(前編) 矢車想 GAME OVER